ハローワークには「空求人」が多い?のなぜ
公的な組織であり、国内の求職者の就業、再就職を支援しているのが「ハローワーク」。雇用保険の手続きや教育訓練給付などの関連で利用した経験を持つ方も多いと思います。そしてハローワークには正社員からパートの仕事まで約100万件(2014年7月時点)規模の求人情報も集まっています。今回はそんなハローワークの「空求人」と呼ばれるものにスポットを当ててみます。
そもそも、ハローワークの「空求人」って何なの?
一部でも話題にもなっていた「空求人」とは、ざっくり言うと「あまり人を採用する気のない求人」ということ。通常、企業では社内の人手が不足したりして、新規の人材採用や退職者の欠員補充などを行います。そして人材を採用するために、転職サイトに求人広告を出したり、転職エージェントに人材の紹介を依頼したり、ハローワークに求人を出したりする訳です。
ではなぜ、ハローワークが扱っている求人情報の中に「空求人」が多いと言われてしまうのでしょうか?その理由には複数が言われていますが、大きくはハローワークの仕組み、制度の部分に起因していると思います。具体的には以下のような理由、事情などが空求人を生み出す可能性を作っていると思います。
【1】 ハローワークは他と違い、企業側は費用負担なし(無料)で人材募集が行える
【2】 企業はハローワーク経由で人材を採用すると助成金がもらえる(もちろん支給条件はある)
【3】 ハローワーク側も企業に働きかけて、求人をかけるように促している
ハローワークの仕組みや制度が空求人を生んでしまうという皮肉
上記に3つのポイントを記載させてもらいましたが、この3つのポイントが複雑に絡み合って、いわゆる「空求人」につながっていくものと思います。さらに具体的に見ていくと、例えば以下のようなケースが空求人につながるものになると思います。
【例1】 ある時、各地域のハローワークも、より多くの就業、再就職につなげなければ組織として存続できないという考え、危機感から、その地域の各企業に求人をかけるように勧誘を行った。企業側も特に費用をかけずに人材募集が行えるし、ハローワークからも言われているし、すぐに人の採用を考えている訳ではないものの、とりあえずハローワークに求人だけはかけておいた。
【例2】 ハローワーク経由で特定の条件を満たし、新たに人を採用すると、例えば一人あたり50万などの金額の助成金をもらう事ができる。その企業も特に人の採用を急いでいる訳ではないものの、自社にとって必要と思える、優秀な人材に巡り会えた時に、真剣に採用するかどうかを考えれば良いだろうと思ってとりあえず求人だけはかけておいた。
【例3】 ある企業は転職サイトなどの求人広告を中心にして人材採用を行ってきたが、どうしてもコストが高いと思っていた。そこでとりあえずハローワークに求人を出してみたら、どんな人から応募があるのだろうか?と考え、無料でもあるので出しておいた。そしてその後、忘れた頃にハローワーク経由で応募のあった人と面接はしてみたものの、高い給与で採用したい人とまでは思えないので、なんとなくそのままずっと、採用したいと思える人が来るまで、募集だけは出し続けている。
他にも理由や事情はあるかもしれませんが、上記のような状況がハローワークに空求人が多いと言われる要因になっているものと思います。もちろんハローワーク側も健全に努力している面もあって、自らの組織の存続のためだけに勧誘を行っている訳ではないと思いますが、助成金の支給やいつでも無料で求人がかけられるという利便性も絡まって、いわば、「だらしない、緊張感のない求人」が出てくることにもなっていると思います。
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