外資系企業は厳しさの裏に合理的な理由あり!外資系と日本企業で働いてみて
外資系企業と日本企業。雰囲気や社風、待遇の違いなどについて漠然としたイメージは持っているものの、実際どうなの?となるとイマイチわかりませんよね。本当は「お試し入社」ができれば良いのでしょうが、なかなかそういう訳にもいきません。そこで今回は外資系企業と日本企業、その両方で長年働いてきた経験を持つ身から、イメージの背景にあるものやその違いについて、ご紹介していきたいと思います。
いわゆる外資系企業って、こんなイメージでしょ?
外資系企業にはどんなイメージがありますか?「実力主義」「ノルマや目標が厳しい」「リストラが多い」「英語が話せないと駄目」、なんとなくそんなイメージが多いのではないでしょうか。ちなみに私が日本企業から外資系企業に転職したのは25年前。上記のような印象が更に強い時代だったと思います。周囲の仲間にも「なんで外資系企業に行くの?平和な生活を捨ててまで!?」などと言われたものでした。
一方で日本企業って、こんなイメージなのでは?
では次に日本企業のイメージはどうでしょう?「年功序列」「長く働ける」「チームワーク」「リストラは少ない」なんとなくこういったイメージではないでしょうか?しかし、ここで挙げたうちの何点かは既に過去の話となっているかもしれません。「何故、外資系企業に・・・」と言っていた私の友人は現在、日本企業で仕事を続けるか、外資系企業に移るかで悩んでいます。
外資系企業と日本企業。その差はなくなってきているように思う
私が外資系企業に転職して実際はどうだったのか?それは概ね、印象通りだったなというのが結論です。しかしこの25年間で、外資系企業はもとより、日本企業の多くが変遷を重ね、双方ともに労働環境や勤務形態、就業形態も変化し、段々とお互いの差はなくなってきていると感じているのも事実です。
外資系企業の文化を形成する主な要素として「スピード重視」という点が挙げられます。これは、精度よりもスピードを求めるということではありません。精度は当然ながら更に、スピードも求められるという事です。この点が重視されるのは、会社の経営に株主の意見が強く反映されるからという背景もあります。
今では日本企業でも多く見受けられるようになりましたが、外資系企業では決算報告から社員の評価に至るまで、四半期ごとの目標達成や結果評価の仕組みが設けられています。株主は株価を重視し、その為に会社が良い決算でない場合には、早急な経営計画の修正と実行を求めます。それを受けて行動をするので、実際の仕事においても「今年は厳しいものの、来年には何とかなるように動いています」「部下のA君に指示しているのですが、なかなか良い動きが出来ていないようで・・・」というような事を言っていては、社内で良い評価を得るのは厳しいです。
仮にきちんと仕事がしやすい環境を整備してくれる上司に恵まれたとしましょう。その上司もいつまでそのポジションにいるかはわかりません。外資系企業では年度の途中であっても、四半期ごとに人事異動があるからです。そういった事情から、自分自身で分析、計画し実行する、進捗をモニタリングして適宜修正していくという考え方事が重要になります。
一方で、日本企業の場合はどうでしょうか?輸出の多い自動車や電機などを中心としたグローバル企業は四半期決算を導入する事例が増加しています。それとともに責任者の交代など、良い決算報告が出来なかった場合の責任の取り方という点でも、外資系企業と似てきているようにも思えます。これらの企業は主なマーケットが既に海外になっていることから、自ずとスピードを重視して競争相手と対峙することになり、その要素を取り入れざるを得ないのが現実とも言えるでしょう。戦うマーケットが重なるようになってきた。この点が外資系企業と日本企業の差が少なくなってきた主な要因だと感じます。
外資系企業は常に投資対効果を見ているという例
その他にも外資系企業には色々な特徴があります。福利厚生を例にすると、外資系企業で多いのは福利厚生のアウトソーシングです。それは以下のようなプロセスで決定されています。
「良い人材を採用したい」→「日本人は待遇面で福利厚生も重視している」→「福利厚生を整備しよう」→「社内で整備するのと社外で整備するのと、どちらのコストパフォーマンスが良い?」→「比較検討の結果、保養所などの固定費は無駄。アウトソーシングにしよう!」→「当社は、こういった福利厚生のアウトソーシング会社と契約していますので、プログラムカタログから規定のポイント内で自由に選んでもらえます」。
このように自社だけでは用意できないプログラムを持つ福利厚生専門のアウトソーシング会社と契約することで、(人件費のかかる)社員や保養所などの固定費を増やすこと無く、目的を最大限に達成する事を行っている訳です。福利厚生プログラムの中身は社員が自由に選べるので、社員それぞれの個性に合わせる事が可能ですし、本音としては社員の個性や意見を勘案する必要がないという点で、単純化もなされている訳です。
ちなみにここで述べている単純化という部分は「合理的」にという言葉に言い換えても良いかもしれません。そのように考えれば外資系企業の「実力主義」「ノルマや目標が厳しい」「リストラが多い」というキーワードも以下のようになると思っています。
実力主義→評価項目は(お心づけや学歴などではなく)成績を重視
ノルマや目標が厳しい→その為のリソースは投入する
リストラが多い→チャンスは平等に与えたので、結果、優秀な人しか必要なし
といった感じで単純化出来るわけです。外資系企業では人材を採用する時にはまず、「優秀な人材」という点が最も重要視されます。学歴よりも職務経歴が重要です。つまり「今、優秀そうな人材か?これから活躍しそうか?」が判断されるわけです。ある意味とても合理的な判断をここでも行っている訳です。
最後にまとめてみると
外資系企業の実像について書いてみましたが、少しは気づけた部分がありましたか?私が伝えたかったのは「シンプル、単純だからこそ、外資系企業の方が合っているという人が実は結構いるんですよ!」ということ。簡単に言ってしまえば、「結果責任は負うので、自己裁量で仕事がしたい!」という方。こういった方は、厳しさの前にやりがいが感じられ、自分でも思っていなかった以上に仕事に没頭して、結果を出してくる可能性を秘めていると思います。「外資系企業の厳しさには合理的な理由あり!」とぜひ、念頭に置いて頂ければと思います。
(寄稿:とある外資系企業の管理職さん)
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