パートの仕事の雇用保険って何?どのくらい天引きされる?どのくらいお金がもらえる?
勤務する時間や雇用形態等によって加入する「雇用保険」。これは雇用形態がアルバイトやパートの場合であっても、一定の条件に当てはまれば加入の対象となります。そこで今回は雇用保険の加入条件や保険料率などの紹介をはじめ、失業時の失業給付金の計算例も交えて解説していきたいと思います。
雇用保険の被保険者は4種類に分かれている
雇用保険の被保険者とは、雇用保険の対象になる人の事を指しますが、雇用保険の被保険者は全部で4種類に分かれています。ここでは難しい説明は省略し、敢えて簡単なイメージを持ってもらえるよう、大雑把に説明させて頂きたいと思います。
①一般被保険者
雇用保険に加入している人のほとんどが、この「一般被保険者」です。後述する②から④に該当しない場合は、この「一般被保険者」に該当します。
②高年齢継続被保険者
近年は定年退職の年齢が60歳から65歳に引き上げられている会社も増えてきています。雇用保険に加入していて、このように65歳を過ぎても引き続き働いている人は、この「高年齢継続被保険者」に該当します。
③短期雇用特例被保険者
雪国の兼業農家では冬になると都会へ出稼ぎに行ったりする人もいますが、雇用保険の被保険者で、この例のような季節労働者の人は、「短期雇用特例被保険者」に該当します。
④日雇労働被保険者
日雇労働被保険者とはまさに「日雇い」で働いている人を言いますが、必ずしも日雇労働被保険者になれるわけではなく、一定の条件が必要です。
非正規労働者の雇用保険の加入条件は?
アルバイトやパートなど、いわゆる非正規労働者の雇用保険の加入条件は以下の通りとなっています(2015年8月時点)。尚、①、②の両方に該当する場合は雇用保険の一般被保険者となります。
①31日以上の雇用見込みがあること
②1週間の所定労働時間が20時間以上であること
短期アルバイトの場合は除き、一般的なアルバイトやパートで採用が決まった場合には、3ヶ月や6ヶ月といった試用期間を設けている企業が多いと思います。このような場合は①の条件を満たしている事になります。
アルバイトやパートの勤務形態は働く企業によっても様々ですが、健康保険や厚生年金保険の加入対象にならない程度に働いてもらうのが一般的でしょう。例えば朝から正午までや朝から夕方までといった勤務形態をはじめ、正午から夜までなどの勤務形態も考えられます。1週間を通じて働いた合計時間が20時間以上であれば、②の条件を満たす事になります。
アルバイトやパートなどの非正規労働者の給料は決して多いとは言えませんが、上記の条件を満たした場合には雇用保険に加入しなければなりません。「私は加入しなくても大丈夫です」や「加入したくないです」というような拒否はできませんので、もし仕事での採用が決まっても、担当者にこのような話は慎むようにする事をお薦めします。
気になる雇用保険料の料率、その計算方法は?
雇用保険に加入したものの、いったいどの程度の金額が給与から天引きされるのか?やはり皆さんはここが一番気になりますよね。以下に具体例を交えて解説していきますので、参考にしてみて下さい。まずは、平成27年度の雇用保険料率からご紹介します。
平成27年度の雇用保険料率表
※厚生労働省 ハローワーク 平成27年度の雇用保険料率より引用
天引きされる雇用保険料の具体例
時給1,000円で1日4時間労働、週5日の勤務と仮定し、4週間スーパーでパートの仕事をした場合に天引きされる雇用保険料は以下となります。
1日あたり 1,000円×4時間=4,000円
1週あたり 4,000円×5日=20,000円
1月あたり 20,000円×4週=80,000円
スーパーは上記表の「一般の事業」に該当するため、
80,000円×5/1000=400円
つまり、「400円」が給与から天引きされる雇用保険料になります。ちなみに、給与の他に通勤手当や各種手当をもらう場合も考えられます。これらの手当はすべて合算し、雇用保険料率を乗じた金額が天引きされる雇用保険料になります。
突然解雇!そんな時に失業給付金はいくらもらえる?
前述の具体例で挙げた人が、勤務先のスーパーから突然の解雇通告を受けたと仮定しましょう。労働条件及び1ヶ月あたりの給与が前述の具体例と同じ場合の「概算失業給付金」は以下の通りとなります。
賃金日額の特例を適用して計算
480,000円(80,000円×6ヶ月)/120日(20日×6ヶ月)=4,000円
4,000円×70%=2,800円
2,800円×80%=2,240円
1,840円(基本手当日額の下限額)< 2,240円
これらの計算の結果、概算失業給付金は「1日あたり2240円」となります。尚、失業給付金はあくまでもハローワークの方で確認、計算して決定されるものになっているのであらかじめご注意ください。尚、解雇の場合は自己都合退職のように3ヶ月間の給付制限といったルールはなく、早期に失業給付金を受け取る事が可能になります。
今回のまとめ
雇用保険と聞くと、失業時の一定期間について、それまでの所得の一部を補償してくれるものという風に覚えている方も多いと思います。所得補償の金額は従来もらっていた給料と同額ではないものの、補償金が出るのと出ないのでは、大きな違いがあります。
アルバイトやパートなどの非正規労働者の場合、企業側の都合で突然の解雇や雇い止め等に遭い、失業してしまう可能性もあります。そんな時、雇用保険が一時的に窮地を救ってくれるのは間違いないでしょう。そしてそれこそが雇用保険の最大のメリットです。これは筆者個人の見解になりますが、アルバイトやパートで働くのであれば、できる限り雇用保険に加入できる条件の仕事を探し、働く事をお薦めしたいものです。
著者・SPECIAL THANKS
佐藤 元宣
独立系ファイナンシャルプランナーとして子育て世帯から年配まで幅広い年齢層と分野で様々な相談に応じている。地元秋田県でファイナンシャルプランナー普及活動や情報も積極的に発信。
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