中の人が解説!外資系企業の昇進昇格事情、どんなタイプが昇進昇格している?
外資系企業ではどんな観点から社員が評価され、昇進昇格していくのか?日本企業でしか働いた事がない場合は、あまりピンと来ないですよね。そこで今回は日本企業と外資系企業の双方で働いた経験を持つ外資系企業の某管理職さんに、昇進昇格事情について教えてもらいました。
突出した才能や実績よりも、実はバランスが重要
外資系企業と言えば、仕事の結果を残せば自ずと評価され、昇進昇格していくのでは?と感じる方が多いと思います。しかし外資系企業の中で実際に昇進昇格している人を見てみると、意外にも何かが飛び抜けて目立っているというわけではなかったりするのです。もちろん結果という部分も成績の上位者ではありますが、常に1位というわけでもありません。では学歴や年齢も関係する?いえ、それもまた違います。
重要なのは、次のキャリアステップとして求められる要素を、高い次元でバランスよく満たしているか?という点です。それによって例えば、「仕事の結果、その一点だけが評価された昇進」ではなく、別の要素からの昇進機会も巡ってくる事になるため、総量としての昇進機会が増していくのです。
上位10%以内の成績が目安だが、安定した上位達成が重要
では実際のところ、どんなタイプの人が昇進昇格を果しているのか?について。まず、外資系企業で多くの人がイメージする「仕事の結果」という部分では、一般的に上位10%以内の成績に達している事が1つの基準だと思います。そしてそれは単年の事ではなく、できるだけ安定して上位達成者として名前を連ねている事が重要です。こういった安定した実績を持っている人が昇進昇格した場合は、社内から実力に対する疑問符が付くことも少なくなります。
上級職になるほど、コミュニケーションや周囲からの信頼が重要
次に重要なのは、波及効果やチームプレイなどを含めた「コミュニケーション能力」です。上級職になれば自ずと人的マネージメントなど、他者に対して影響力を持つ部分が増えていきます。この時にマネージメントのスタイルが高圧的だったり、排他的だったりすれば、ハラスメントなどの問題も懸念されるため、上級職を担当する資質に問題ありと判断されかねません。外資系企業の中で着実に昇進昇格を果している人は、気さくに相談にのったりアドバイスを与えるなど、周囲から慕われる人物が多いのが実際です。
次のキャリアステップで求められる能力があることを先に示すのが重要
更に、次のキャリアステップで求められる、「業務遂行能力」についても判断、評価されます。管理職となれば、自分の仕事で結果を出すだけではなく、他者を支援してチームとして結果を出すことも必要になってきます。また、自分の部署だけではなく、会社として必要な投資や予算分配などの経理面での知識や判断も求められるようになります。
ここで重要なのは「次のキャリアステップでも業務遂行力があるのを示す」事です。「立場は人を育てる」という言葉もありますが、外資系企業は時間の流れが早いため、そこまで待ってはくれません。昇進昇格前から、次のキャリアステップで求められる能力があることを先に示すのが重要なのです。
こういった要素(評価ポイント)について、どこか1つが突出しているのではなく、全てを高い次元でバランスよく満たしている人が上級職へ昇進、昇格しているケースが多いように感じます。
なぜバランスよく満たすのが重要なのか?
ではなぜ「バランス」が重要なのでしょうか?それは昇進昇格して上位職になるほど、「顧客とビジネスの対象者」が変化してくるからです。例えばあなたが課長に昇進した場合を考えてみましょう。
昇進昇格前、一社員としての立場の場合、顧客というのは当然「お客様(エンドユーザー)」になります。当然この段階での評価は成績という結果になるわけで、お客様(エンドユーザー)があなたを評価査定していると考えても良いかもしれません。しかし、課長に昇進昇格した後は、広義での顧客が微妙に異なってきます。それは求められる成果が以下のように変化するからです。
【1】成績(結果)=課長として、責任を持っている課の結果が重要になる
【2】コミュニケーション能力=課員とのコミュニケーション能力が重要になる
【3】業務遂行能力=課を運営し、組織目標を達成していく能力が重要になる
社内顧客、社内顧客という考え方
つまり自分の成績だけでなく、部下なども含めて社内の責任範囲にも気を配る必要が出てきます。この点は「社外顧客と社内顧客」などと呼んだりもしています。社内顧客とうまく協調し、部下や他部署の人、予算などをうまく管理、配分しながら結果を出していく事が主な仕事になるのです。
上級職になればなるほど、忙しくなっていく
もちろん、実際にこれらの内容を満たそうと思うと簡単ではありません。出世しても全然楽にならない!と思われるかもしれませんが、外資系企業では上位職になるほど責任と業務量が多くなる傾向です。費用(給与)対効果が求められるため、逆に業務量は増大します。また、評価の部分でも、上司・上長だけではなく、ブラインドアンケートなどで部下や関係部署の社員も評価します(360度フィードバック)。上級職を目指すのであれば、多面的な対応力と実行力が必要になり、それらのバランス感がとても大切になります。
(寄稿:とある外資系企業の管理職さん)
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