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【全解説】転職エージェントってどんな仕組み?成功報酬手数料とビジネスモデルとは

そもそも転職エージェントってどんな仕組み?人材派遣会社とは何が違う?転職エージェントの成功報酬や手数料って何?どういったビジネスモデルで利用者にはどんなメリット、デメリットがあるの?など、今回は転職エージェントの仕組みの根幹や、ビジネスの裏側をまとめて解説。知られざる手数料や返金条件の話、人事担当者が転職エージェントを利用する理由なども詳しくご紹介していきます。

転職エージェントの仕組みを調べる女性


まずは転職エージェントと人材派遣会社の違いを押さえておく


転職エージェントの仕組みを理解するにあたって、まず最初に知っておきたいのは、転職エージェントと人材派遣会社は一見すると似ているように見ても、その中身は全く異なるという点です。人材派遣会社というのは、その名の通り人材派遣会社が雇用元となり、派遣先の企業に対して派遣スタッフを派遣する仕組みとなっています。それに対して転職エージェントは、正社員(もしくは契約社員)といった企業側の直接雇用の求人情報を取り扱い、企業側が雇用元となる正社員転職を支援するサービスを行う事業者の事を言います。これがいわゆる「転職支援サービス」です。


また、転職エージェントと人材派遣会社を比較すると、企業側から受け取る報酬体型にも違いがあります。人材派遣会社は自社の収益となる手数料を含む時給を決定した上で派遣スタッフを派遣し、就業時間数に応じた請求を派遣先企業に行う仕組み。それに対して転職エージェントは、企業側が求める正社員採用に人材を紹介(推薦)し、企業側が内定を出し、転職者側も入社したいという双方の合意が確認できた時点で、初めて自社の収益見込みを立てる事ができます。正確には転職者が次の転職先となる企業に入社した時点で、事前に契約で定めていた採用成功報酬を請求し、企業側から手数料として受け取っています。


転職エージェントの採用成功報酬、その手数料の金額相場はどのくらい?


ある企業のビル外観


転職者が転職エージェントを通じて次の転職先へと入社した頃、転職エージェントはその企業の人事部に対して採用成功報酬の請求を行います。この時の採用成功報酬、いわゆる手数料の金額相場は、転職者がその企業で初年度に受け取るであろう「見込み年収の30%相当額」が業界内での目安となっています。具体的には転職者の見込み年収が400万円であれば120万円、600万円であれば180万円、800万円であれば240万円が転職エージェントにとっての収益となります(消費税を含んでいない金額)。


年収の100%が成功報酬!?景況感と職種によって手数料はどんどん変わる


転職エージェントと企業の間で事前に定められる採用成功報酬の料率は、その時々の景況感や対象となる職種、紹介の難易度によっても変わります。業界内における1つの大きな目安は見込み年収の30%相当額ですが、景況感が良く、企業の中途採用需要が活発になってくると、料率が35%相当額に上がってくる事もあります。一方で2008年のリーマンショックが起こった後などは、企業の中途採用需要が急激に落ち込み、料率が25%相当額またはそれ以下になるといった現象も起こりました。つまり転職エージェントの採用成功報酬の料率は、常に需要と供給のバランスで成り立っているのです。


2012年以降の近年は、有効求人倍率も大きく改善し、中途採用需要も活発になり、企業間における人材採用競争も過熱しています。特にIT業界において高い技術力とコミュニケーション力、経験値を持った優秀なシステムエンジニアの採用に対しては、見込み年収額の100%相当額を支払うといった契約で、転職エージェントに対して人材の紹介依頼をかける企業も一部にはいると言われます。その他にも近年は経営幹部、事業責任者クラスの人材、看護師、医師などの引き合いは非常に強く、優秀な人材を求める企業との間で手数料の料率はどんどん動いています。


採用成功報酬の手数料は高すぎ?企業の人事担当者はどう考えているのか


ある企業のオフィス内の光景


世間一般の感覚からすれば、転職エージェントが企業から受け取る手数料の料率は高すぎると感じると思います。そしてこの点はもちろん、企業の人事担当者も同様の感覚で捉えています。しかし、こういった手数料の高さの背景には、転職エージェント以外の他の採用方法との金銭的、業務的コストの比較、そして企業側の深刻な人材不足などの問題も関わっています。


金銭的、業務的なコストに関しては、企業の人事担当者も常に悩んでいます。例えばリクナビNEXTやマイナビ転職、エン転職といった求人広告媒体は、求人広告の掲載そのものに100万~200万といった金額がかかります(選ぶ掲載プランによって金額が変動)。そしてこれらの媒体は1回掲載あたりの期間も決まっているため、うまく採用ができずに長期間掲載を継続すればするほど、企業の金銭的コストもどんどん大きくなっていきます。また、募集に対しての応募者が増えれば増えるほど、人事担当者も書類選考や面接、事務連絡等の手間がどんどん増えていく結果になります。


また、ハローワークを通じた募集に関しては、企業の人事担当者も積極的に活用するケースと、敢えてハローワークでは募集をかけない(避ける)ケースとがあります。採用活動にお金が回せない、中小・零細企業はハローワークで募集をかけるしかありませんが、世間での知名度が高い、いわゆる大手企業などでは、ハローワークで募集をかけても優秀な人材が集まらず、ただただ応募人数だけが積み上がってしまう結果になるため、選考や事務連絡の手間を考えると、できるだけハローワークは使いたくないと考える人事担当者も多いのです。


こういった実情を踏まえると、リクナビNEXTやマイナビ転職などにひたすら掲載し続けるくらいなら、転職エージェントに人材を紹介してもらった方が金銭的、業務的なコストの面でもメリットがあるのでは?と人事担当者も考えるようになります。企業の人事担当者も日々いろんな採用方法、手段を検討してはいるものの、やはり結果を出しているという面もあり、転職エージェントを信頼、活用している状況なのです。


転職エージェントと企業が結ぶ事前契約には、早期退職時の返金条件もある


ある企業のセミナールームの光景


そしてもう1つ、転職エージェントの仕組みや報酬体系を理解する上で知っておきたいのが、企業と転職エージェントとの間の事前契約の中身。前述したように採用成功報酬の料率に関する取り決めも中身に含まれますが、ここで知っておきたいのは「返金条件」に関する項目です。そもそも返金条件とは、転職者が転職エージェントを通じて次の会社へと入社したものの、何らかの理由や事情によって早期に退職してしまう場合に備えた補償であり、企業側にとっては採用のリスクを抑えるための内容となっています。


一般的な大手転職エージェントと企業の事前契約であれば、転職者が入社してから3ヶ月以内に退職してしまった場合、受け取った採用成功報酬の50%を企業側に返金するという内容になっているのが1つの目安ですが、場合によっては1ヶ月未満で退職の場合は100%、3ヶ月未満の場合は50%、6ヶ月未満の場合は20%など、段階的に返金条件が設定される場合もあります。これらの返金条件は転職エージェントと企業側との交渉によって決まる形となっています。


採用成功報酬型が一般的になっている転職エージェント、そのビジネスモデルは?


ピースを組み合わせるようなマッチングビジネス


よく転職エージェントのビジネスモデルは?というと、採用成功報酬型のビジネスモデル!という話ばかりが出てきますが、ここではもう1段深く、採用成功報酬型という仕組みを踏まえ、転職エージェントがどうやって収益を最大化させているのか?について、解説しておきたいと思います。


お金の流れだけをシンプルに見ていくと、転職エージェントは企業に人材を紹介(推薦)し、転職者がその企業に入社しない限りは自社の収益になりません。そのためまずは、いかにして一人でも多くの転職者に内定獲得まで進んでもらうか、というのも重要な経営指標になります。また、内定を獲得するためには企業側が実施する選考をクリアする必要があるため、面接実施数や書類選考実施数なども重要な指標になります。つまり入社から逆算して内定、面接、書類選考数の動きなどを、個々のキャリアアドバイザー単位で数値化し、単月単月でその進捗状況を確認していきます。これらを全体で合算した数字が業績のトレンドとなり、収益見込み(予測)へとつながっていくのです。


こういった背景から転職エージェントのキャリアアドバイザーは、自身が担当する転職者の活動状況(ステータス)を把握し、過去に蓄積された内定、選考に関するデータ、そしてキャリアアドバイザー自身が知る事例や体験を踏まえ、転職者に対して選考突破のための情報支援、アドバイスを手がけていきます。また、中途採用の求人情報は常に動くものであるため、毎日新着の求人情報やクローズになってしまった求人情報をチェックし、フレッシュな求人情報を転職者に対して紹介、連絡していくのも重要な仕事の1つとなっています。


転職エージェントのビジネスは、厚生労働省から許認可を得て行う民間の職業紹介事業者という位置づけになっていますが、この許認可の範囲内でできるだけ多くの求人情報を集め、できるだけ多くの転職者に転職支援サービスを利用してもらい、選考通過、内定、入社の数を最大化していく。これがマッチングビジネスと言われる転職エージェントのビジネスの基本であり、スピード感を持って個々の転職者に情報を届け、選考突破を支援するとう動きにつながっているのです。


転職エージェントを利用する転職者から見れば、どんなメリット、デメリットがある?


転職エージェントの事を理解した女性


最後に転職エージェントの仕組みや報酬体系、ビジネスモデルの流れなどを知った上で、改めて転職支援サービスを利用するメリットやデメリットをまとめておきたいと思います。まず、メリットとしては転職エージェントのキャリアアドバイザーも、内定へと結びつかなければ報酬(収益)の対象にならないため、ハローワークや人材派遣会社よりも積極的且つスピーディーに情報紹介、ノウハウ提供などを行ってくれるということ。そして一般的な転職サイトには求人を掲載せず、敢えて転職エージェントのみを通して採用活動を行っている企業もあるため、思いがけず良い転職情報に出会える可能性があるという点です。転職サイトを眺めていて、希望に合うような求人に出会えないと感じている転職者の方にとっては、非常に役立つサービスだと言えます。


一方のデメリットとしては、転職エージェントの成功報酬体系、手数料金額の高さといった事情から、求人情報の取り扱いが少ない業界や職種、地域、企業などがあるのも事実です。この場合、転職者の過去の職歴や希望条件によっては、期待したよりも転職情報の紹介が少ないという現象が発生してしまう可能性もあります。また、サービスのスピーディーさに満足する転職者もいれば、もっとゆっくり考えてから転職の有無を決めたいという転職者もいるため、転職活動を急かされてしまうようで困ると感じる転職者もいます。こういった特徴、メリットやデメリットがありながらも、転職エージェントを活用して転職する人は右肩上がりに増えていて、この15年の間にサービスは大きく浸透し、国内における転職活動の有力な手段、方法の1つとなっています。

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