【全解説】転職エージェントはなぜ面談を行う?その本音と準備、当日の内容とは
初めて転職エージェントに登録したら、「一度面談という形でお会いさせてください」というメールが来た。そんな時に感じる疑問が「何のため?どんな話をするんだろう?」ということ。今回は転職エージェントはそもそもなぜ面談を行うのか?その本音と面談当日までの準備、面談での具体的なやり取り、お礼のメールの必要性や面談の断り方に至るまで、全てを詳しく解説していきます。
転職エージェントから面談の連絡が来た!でもそもそも、なぜ面談を行う?
転職エージェントに登録すると、担当を名乗るキャリアアドバイザーから、「面談(キャリアカウンセリング)を行わせて頂けないでしょうか?」といったメール、または電話で連絡が入る事があります。この時のキャリアアドバイザー側の目的、意図としてはいくつかありますが、総じて言うとすれば、中途採用を行っている企業に対し、しっかりと推薦できる経歴や考え方、志向、人物像であるか、事前に確認させて欲しいといった狙いを持っています。
転職エージェントのキャリアアドバイザーの本音としては、転職希望者側の希望も叶えないといけないし、かといって企業から依頼を受けている内容と全く異なる人物を推薦する訳にもいかないといった事情があります。そのため、事前に面談という形で直接顔合わせする事で、本人の仕事の専門性や経験値、考え方や今後の志向、希望条件等をヒアリング、確認し、どういった企業であれば、この人を推薦できるのか、できないのかを見極めていく必要があるのです。
これから面談を受ける予定がある場合、前提として知っておきたいのは、転職エージェントは「企業と人の意向を汲み取ってマッチングを行う場所である」ということ。つまり、無条件に何でも求人情報を紹介してくれるところではなく、転職者側の希望、そして企業側の希望に噛み合った求人情報の紹介が基本になるという点です。
この結果として、うまくマッチすれば思いがけず良い転職情報をたくさん紹介してもらえる場合があります。一方で当初期待したよりも転職情報の紹介が少なかったという場合も出てきます。これは転職エージェント自体が採用成果(が発生した時点での)報酬型という仕組みのため、採用需要がそもそも少ない業界、職種、地域、経歴等の転職者の場合、なかなか良い案件の紹介が難しいという実情も出てくるのです。
面談の所要時間ってどのくらい?いつ、どんな場所で面談するの?
転職エージェントのキャリアアドバイザーとの面談の所要時間は、「概ね1時間~長い時で2時間程度」と考えておいた方が良いです。これは転職者側からの質問の有無や、具体的な求人情報の紹介があった際、それらに関する各質疑応答のやり取りなどで所要時間も変わってくるためです。挨拶から面談の目的に関する説明、そしてこれまでの経歴の確認や今後の希望条件のやり取り、それらに合った求人情報の紹介、個別の求人情報に関する質疑応答、こういった流れで面談は終了します。
また、面談を行うにあたっては、事前にキャリアアドバイザー側と希望日時のやり取りを行った上で、具体的な面談日が確定します。この時に例えば「平日は忙しいから、土曜日や日曜日ではダメなの?」と思う事もあるかもしれません。この点に関しては、一般的な転職エージェントであれば、土曜日や日曜日、祝日の面談にも対応しているので、大きな心配にはなりません。転職エージェントの世界では、土曜日や日曜日等に転職者と面談を行い、平日にその分の代休を取得するという事もよくあります。
そしてもう1つ、面談の場所に関しては、一般的な転職エージェントであれば、そのエージェントの最寄りのオフィス(拠点)で行われるのが基本です。転職エージェントのオフィスには面談専用の個室(ブース)が設けられていて、個々人のプライバシーに配慮した場所で面談が行われています。ちなみに転職エージェントのサービスは厚生労働省の許認可を得て行われるものですが、きちんと独立した面談ブースが整っていない場合は、そもそも許認可自体が降りません(自社内で面談を行う前提で申請をしている場合)。
一方で、規模が小さく、数名から十名程度等で運営している転職エージェントの場合は、敢えて自社の外で面談を行う事も多いです。具体的には転職者との待ち合わせが容易なカフェ、喫茶スペース、ホテルのラウンジ等です。これは中小規模の転職エージェントだけに限らず、ヘッドハンティングを主体としたエージェントでも同様のスタイルで場所を決め、面談を行っています。
さらにもし転職者とキャリアアドバイザーとの距離が物理的に遠い場合、例えばキャリアアドバイザーは東京で、転職者は地方に住んでいるなどの場合は、お互いに顔を合わせての面談は難しいため、代わりに「電話面談」というスタイルで面談を行う場合もあります。この時は事前に電話の時間帯を決めておけば、基本的にはキャリアアドバイザーの方から電話をかけてきてくれます。
面談当日までに事前準備は必要?何か持っていくものはある?
担当のキャリアアドバイザーと日時調整を行い、具体的な面談日が決まったら、「履歴書と職務経歴書」を準備しておく方が良いです。既に転職エージェントに対して履歴書と職務経歴書を送付済みの場合は、当日までに何の事前準備も必要ありませんが、もしまだ送付済みでない場合は、キャリアアドバイザーから事前に送付して欲しいと求められる事もあります。
もし準備ができていない場合、履歴書ならともかく、かっちりした職務経歴書を作るのは大変だよ!と思うかもしれませんが、この段階で求められる職務経歴書はかっちりした完成品でなくても大丈夫です。あくまでもキャリアアドバイザーに自身の経歴を把握してもらうための内容なので、職務経歴書の書き方マニュアルやフォーマットの流れに従い、60%から70%程度を完成させるというつもりで取り組めば大丈夫です。どうしても面倒!という場合は、自分の経歴を箇条書きでできるだけ書き出し、まだ整理、整形までできていなくて申し訳ありませんがと一言添えて、送付しておきましょう。
そもそも職務経歴書というのは、どんどんブラッシュアップさせて進化していくものです。最初から綺麗に漏れなく、無駄なく作成できるという人はほとんどいません。ある程度の状況のものをキャリアアドバイザーに見てもらい、面談時に添削してもらう、書き方や内容に対する過不足のアドバイスをもらう、そういった事もよく見られる光景なので心配する必要はありません。
また、面談当日の持ち物に関しては、事前に履歴書と職務経歴書を提出しておけば、特段これといったものは必要ありません。強いて言えば簡単な筆記具とメモ帳程度のものがあれば、当日書き留めたい事が出てきた時に便利です。加えて念のため(現勤務先の)名刺を持っていった方が良いのか?と悩む方もいるかもしれませんが、こちらも全く必須ではありません。離職中の方の場合は手持ちの名刺がないという事もありますし、転職エージェント側も面談時に名刺を求めてくる事はありません。
面談当日はどんな服装で行けばいい?スーツじゃないとダメなの?
転職エージェントの面談に行く際の服装に関しても、特段の決まりはありません。例えば土曜日や日曜日に面談に行く方の場合は、出かけたついでに立ち寄るのでちょっとカジュアルな服装でも良いですか?と、事前にキャリアアドバイザーに尋ねる方もいます。休日のお出かけのついでにというケースも多々あるため、私服で面談に行く事自体には何の問題もありません。
近年は私服での勤務が当たり前の企業も徐々に増えていて、IT・インターネット関連の業界などでは、営業職以外の人は全員私服というのも当たり前です。実際に応募した企業で中途採用の面接を受ける場合は別ですが、転職エージェントでの面談は採用選考とは異なりますので、過度に心配する必要はありません。
スーツで行くか私服で行くかよりも、面談時の服装で大切なのは、相手の気分を害さない、不安や心配を与えない程度の身だしなみを意識しているか?(いわゆるTPO)という点です。Tシャツに破れたジーンズ、サンダルといったコーディネートで面談に行くのはベターとは言えませんが、襟付きのシャツや小綺麗なズボンを選ぶなどして、ある程度の清潔感は確保しておきましょう。繰り返しになりますが、世間一般で言われる最低限の身だしなみ程度は意識しておく、あまりにもTPOから逸脱した服装を選ばないようにするといった形で望むのが良いでしょう(キャリアアドバイザーから見てあまりに心配な場合は、実際の面接での身だしなみは、きちんと選んでから行った方がいいですよとアドバイスしてくれます)。
当日の面談ではどんな質問、やり取りが行われる?本音で話をしても大丈夫?
実際の面談はまず、キャリアアドバイザーから担当としての挨拶を受け、今後の連絡も兼ねて名刺を手渡されるのが一般的です。そして転職者側の緊張をほぐすために気軽な会話から始まり、徐々に転職活動に関する本題へと入っていきます。
そして面談時の本題の入り口のほとんどは、「今回どうして転職をお考えになったのですか?」という一言から始まります。これはキャリアアドバイザー側にとっても非常に重要な質問で、そもそも本当に転職したいのか(転職意向の強さ)、何が不満(もしくは困っていて)で転職を考えているのか?そしてどんな仕事や環境を求めているのかを把握するためのポイントになります。
この時に転職者として一番重要なのは、本音の気持ちや考えをきちんと相手に話すことです。もしここできちんと本音を伝えておかなければ、そもそも現状抱えている悩みや問題を解決するための転職情報の提案、紹介を受ける事ができなくなってしまいます(ポイントがずれた提案、やり取りばかりになってしまいます)。
ちなみに転職理由には概ねのパターンがあります。具体的には「会社や経営者の方針に対する不満」「給与や待遇面に対する不満」「転勤や家族の事情を伴う転職」「仕事内容の物足りなさ(キャリアアップ希望)」「勤務先でのリストラや倒産」「派遣から正社員への転換希望」などです。
そして転職理由の話を経た後は、「これまでの職務経験」に関するやり取りが行われます。入社からどんな部署へと配属になり、どんな部署構成の中でどんな業務を担当してきたのか、そしてその業務においてどんな実績を残し、どんな経験を積み、どんなところが自分自身の強みになっているのか、そういった話を中心にヒアリングを受けます。この時は大学生の就職面接のように、事前準備を徹底的に行い、スラスラと言える必要はありません。キャリアアドバイザー側が都度フォローしながらヒアリングしてくれるので、何気ない会話を繰り返しながら、少しずつ経歴を説明していくといった気持ちで大丈夫です。
また、その次には「今後の希望条件、希望イメージ」に関するやり取りが行われます。転職理由やこれまでの経験を踏まえ、今後どんな業界や職種の仕事に就き、どんな職場を求めているのか、現状自分が見えている範囲の答えをキャリアアドバイザーに伝えれば大丈夫です。転職者の中にはそもそも、「転職するかどうかを迷っている」という人もたくさんいますので、その場合は自分の中でどういった条件が満たされる場合は転職を前向きに決断したいと思う、といった伝え方ができればベストでしょう。
そして一通りのやり取りが行われた後は、具体的な求人情報の話に移ります。キャリアアドバイザーの方からこれまでの経験や今後の希望を踏まえ、「例えばこういった企業の求人に対して、興味を感じますか?」といった主旨の話があります。この時にキャリアアドバイザーが考えているのは、「この人はどんな求人情報に興味を持つのだろう?」という点です。その求人には比較的興味がある、全く興味がないなどのやり取りを繰り返しながら、キャリアアドバイザーは転職者の興味関心の傾向を掴もうとしているのです。
加えてこの時によく話題に出てくるのは、「転職市場における採用需給」についてです。企業の求人、人材募集というのは、その時々の経済情勢、景況感と密接に関連しています。いわゆる景気回復の時期には求人募集がどんどん増えていき、景気が悪くなっていく時には求人がどんどん減っていきます。また、個別の業界や職種、地域などによっても全く事情は異なります。そのため、自分自身のこれまでの経験や今後の希望に対し、どのくらい採用の引き合いがありそうなのか(需要がありそうか)?率直にキャリアアドバイザーに質問、相談してみる事をお薦めします。
その他にも面談は、転職者からキャリアアドバイザーに対して素朴な疑問を投げかける場でもあります。転職を考える上でわからないこと、知りたいこと、興味を持った企業から内定がもらえる可能性はどのくらいあるのか、過去にどんな人がその企業から内定をもらっているのか、そしてもしその企業に転職した場合、想定される年収はどのくらいなのかなど、聞いてみたい事があればどんどん教えてもらう、キャリアアドバイザーから情報を引き出すというつもりで話を聞いてみるのがお薦めです。
面談を受けた後は、キャリアアドバイザーにお礼のメールを送った方がいいの?
この点に関してはあまり気にする必要はありません。もちろん、転職エージェントのキャリアアドバイザーも人間なので、翌日にお礼のメールが届いていると嬉しいものではあります。この人のためにできるだけ良い企業、求人を紹介したい!という気持ちになるのも事実です。しかし、お礼のメールを送らなかったからと言って、対応が悪くなるといった事もありません。一部の転職者はお礼のメールを送っていますが、これはキャリアアドバイザーと信頼関係を作り、できるだけ良い情報を引き出そう、気持ちよく頑張ってもらおうという、上手なエージェント活用の方法の1つと言えます。
そもそも面談自体が面倒、断りたい!という場合はどうすればいい?
面談の流れや実情は上記の通りですが、中にはそもそも面談自体が面倒なので、断りたいという人もいると思います。その場合は転職エージェントからの面談希望のメールに対して、断りの返信を送っても構いません。ただしその場合は、なぜ断りたいのか?をきちんと記載してから返信するのが望ましいです。転職エージェントのキャリアアドバイザーも一人の人間なので、冷たくあしらえば「この人にマッチした求人情報を紹介したい!」という意欲も萎えていきます。
転職者の中には、自分が望む求人情報が具体的に出てきた際に、面談を行うようにして欲しいと言う人もいます。こういった場合はメールまたは電話でキャリアアドバイザーに対し、どんな企業や求人情報を望むのか、相手にきちんとイメージを伝えておく事が重要です。そうでなければ自分の希望に合わない情報ばかりが送られてくる、段々とメールを開く事すら面倒になってくる、といった悪循環が発生してしまう可能性もあります。
改めて知っておきたい、面談を受ける事のメリットは?
面談は断る事もできますが、ポジティブに捉えればメリットになる事も多数あります。例えば職務経歴書をブラッシュアップさせるためのアドバイスが得られるという点もメリットの1つです。採用の現場で働くキャリアアドバイザーは、企業の採用、内定事例をたくさん知っています。どんな職務経歴書を書いている人が内定を得ているのか?傾向や書き方のポイントなどを知る機会にもなります。
また、転職サイトなどよりも、自分の経験や希望にマッチした情報に出会える可能性が高いという点もメリットになります。キャリアアドバイザーが転職者の経験、希望、志向等に合うであろう情報をピックアップして紹介してくれるため、転職サイトではなかなかうまく探し出せない、ニッチなポイントに合わせた情報の紹介を受けたい時などには便利です。加えて面談時にその場で様々な求人情報の紹介が受けられるため、現時点で内定可能性がある求人を、一通りまとめてチェック、把握する事もできます。
さらに個別の企業に関して言えば、実際のところどんな人物を求めていて、どんな人に対して内定が出ているのか?もし仮に内定となった場合、どのくらいの年収条件の提示を受けているのか?といった生情報を聞き出す事ができるのもメリットです。転職エージェントには過去の選考事例、採用事例が多数情報として蓄積されています。企業ごとの採用の傾向、クセ、パターンなどの情報を知る事ができる機会にもなります。
最後にもう1つ大切なのは、面談を受けた転職者に関しては、内定獲得の確率が高くなっているという点です。面談時にしっかりとキャリアアドバイザーとやり取り、確認、情報共有を進めておく事で、お互いの認識のズレが減り、適切な書類選考対策や面接対策を教えてもらう事で、企業から内定が得られる可能性も高くなります。転職活動というのは、自分の現状に合った情報を得るという作業が何よりも大変なのです。できるだけ情報収集のアンテナは高く持ち、転職エージェントが蓄積しているノウハウ、フレッシュな求人情報をうまく引き出し、利用できるものは利用するといったスタンスで活用するのが、最も上手なエージェント利用の仕方なのです。
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